立憲民主党の石垣のりこ参議院議員が3月26日、「『瀬戸際の1~2週間』の対策は、失敗に終わったということ。少なくとも東京では。」とツイートした。2月29日の安倍晋三総理の会見での発言を指していると思われるが、死者数の推移を見ると失敗どころ、他国に比べて成功しているように思える。政府批判もデータに基づかないと、国民をミスリードすることになる。(データは日本経済新聞「新型コロナウイルス感染 世界マップ」)

■ツイッターで「さらに多くの感染者が出てくるおそれ」

主張が”石垣”から崩れてますよ(石垣のりこ氏のツイッター画面から)

 石垣のりこ議員は東京で新たに40人以上の感染確認がされたとする3月25日のNHKニュースを引き合いに出し、「現時点で発表される感染者の数は1、2週間前の感染の状況が現れているもので、これから数日、さらに多くの感染者が出てくるおそれもある」と、失敗に終わったとする理由を述べている。

 確かに、今後、感染者が出てくるかもしれないし、1、2週間前の感染がここにきて自覚症状が出て感染が判明したという要素は可能性としては考えられる。しかし、それを一概に失敗と呼べるかどうかは評価方法による。

 人口約1300万人の東京で約40人の感染者増加をどう評価するかである。例えば、欧州ではベルギー1140万人、ギリシャ1070万人、ポルトガル1030万人と東京都より人口が少ない国でどの程度の感染者・死者がいて、その増加率はどの程度なのか。少なくともそうしたものと比較して評価をすべきであろう。

■感染対策は「感染しないこと」に加え「感染してから治癒すること」

日本経済新聞電子版3月26日発表の「新型コロナウイルス 感染 世界マップ」から作成

 石垣議員は感染者を問題にしたが、この感染者数はクセもの。検査を受けていない者もおり、正確に実態を示しているとは限らない。何より新型コロナウイルス対策は、感染を防ぐことだけではない。感染者をいかに治癒して生命を維持するかも大事な対策である。極論すれば、感染者が増えても治癒すればいい。そして死者数は正確に把握できるため、総合的な対策の成否を判断しやすい。

 その死者数と増加率を示したのが「COVID-19の各国死者数の推移と増加率」である。日付は発表日で、前日までの数字を記載。増加率は最新の3月26日の数字と比べてのものである。

 安倍首相が瀬戸際の1~2週間と言ったのは2月29日の記者会見であり、実際に対策が始まったのは翌3月1日から。その日までの死者数が表の3月2日の部分に記載されている。日本は6名の方が亡くなっていたことが分かる。

 それから2週間後は3月16日で、累計28名の方が亡くなっており、死者数は4.6倍になっている。さらに3月26日公表のデータでは46人と、3月2日からの増加率は650%(7.5倍)。この数字を他の感染者が拡大している国と比較してみよう。

■西・仏・米・蘭・独・英の悲惨な状況と比較

 3月9日公表の時点でスペインの死者は10名に過ぎなかった。しかし3月26日には3434名となり、増加率は3万4240%(343.4倍)と凄まじい数字を示している。

 フランスは3月2日時点で2名と日本の6名より少なかったが、現在1331名で増加率は6万6450%(665.5倍)。

 米国は747名、オランダ276名、ドイツ149名と日本をはるかに上回る。島国である日本は地続きの欧州に比べ防疫しやすいと考えることもできるが、同じ島国の英国は422名の死者を出している。

 日本より死者の増加率で少ないのはイラク。3月9日公表時点で6名だったものが、3月26日で27名と増加率350%(約4.5倍)に止まっている。もっとも、イラク政府が新型コロナウイルスによる死者数をどこまで正確に把握できているかは分からない。同国の国内事情を考慮に入れると、死者数が3287人にとどまっている中国の数字の信憑性と同様、100%信頼が置けるものとは言えないのではないか。

■東京の死者5名 同等の人口の国の死者は?

 ちなみに東京都の死者数は3月25日時点で5名(時事通信・時事ドットコムから)。先ほどの東京都並みの人口の国を紹介するとベルギー122名、ギリシャ20名、ポルトガル35名である。

 こうした数字を見て、石垣のりこ議員はなぜ「『瀬戸際の1~2週間』の対策は、失敗に終わったということ。少なくとも東京では。」と言えたのであろうか。これまで、常に「エビデンス」を求めてきた立憲民主党の議員であるなら、自らの主張のエビデンスを示すべき。

 僕の出した結論は、石垣のりこ議員の主張は”石垣部分”から完全に崩れている。