格闘技イベント「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K’SFESTA.3~」(後援:日刊スポーツ新聞社・スポーツニッポン新聞社)が3月22日、さいたま市のさいたまスーパーアリーナで開催された。主催者は会場を所有する埼玉県から自粛の要請を受けていたにも関わらず強行。新型コロナウイルスの感染拡大のリスクが大きい興行に批判は避けられず、大会を後援した日刊スポーツ新聞社、スポーツニッポン新聞社の責任も問われる。

■政府・埼玉県は自粛の「お願い」しか出来ず…

「ふざけるな」は日刊スポーツにかける言葉(同紙2月29日、3月23日付け紙面から)

 大会は、場内でのマスク着用などが呼びかけられ、主催者は「感染防止に万全な対策を取ったとして開催に踏み切った」(朝日新聞3月23日付け)とする。

 一方の大野元裕・埼玉県知事は西村康稔経済再生相からの要請も受け自粛を要請したが受け入れられず「数回にわたり、協力をお願いしてきたが、残念だ」とするコメントを出した。

 場内の換気をしても、6500人が収容された屋内施設のアリーナは感染の危険性が高いのは言うまでもない。他のスポーツイベントの多くが中止、開催しても無観客で行っている中、異例の開催となった。

 こうした民間の興行に対し、政府や地方自治体は強制的に停止させる権限を有していない。3月14日から施行の改正新型インフルエンザ等対策特別措置法を適用して停止させようとすれば、首相が務める政府対策本部長が新型インフルエンザ等緊急事態宣言を発し(同法32条1項)た上で、都道府県知事が興行場の管理者に会場の使用停止措置の要請(同法45条2項)、指示(同3項)をすることになる。

 しかし、今回は緊急事態宣言は発せられておらず、県知事も主催者に自粛のお願いをするしかない。緊急事態宣言を出さないのは首相の政治判断であろうが、私権の制約に対して慎重であるべきとしたのは野党、メディアである。

■安倍ふざけるな!!の新聞が大会後援「ふざけるな!!」

 イタリアやスペインのように死者が1000人を超えるような事態になれば特措法の緊急事態宣言を発するのが当然であり、そうであればK-1の開催も停止することは可能であった。そこに至らないために止める法的権原がなく、感染リスクが高い興行を県知事は指を咥えて見るしかなかったのである。

 2月29日に安倍晋三首相が記者会見で述べたように、新型コロナウイルスの感染拡大防止は政府の力だけでウイルスとの戦いに勝利を収めることはできず、国民の理解と協力が欠かせない。感染のリスクが高い興行は自粛するのが、興行団体としての社会的使命・果たすべき責任であるはず。それらを放棄し、度重なる要請に耳を貸さず興行を強行するのは、もはや反社会的行為と言ってもいい。

 そのような興行の後援を、社会の公器たる新聞を発行する新聞社がするとは信じ難い。特に日刊スポーツは2月29日付け紙面で「安倍ふざけるな!!」という1面見出しで政府の新型コロナウイルス対策を批判している。

 社会の公器としての自覚があるなら主催者側に自粛を迫り、聞き入れられないなら後援から降りるのが筋。それをせず、政府の新型コロナウイルス対策を批判しながら、感染リスクが極めて高い興行を後援する節操の無さには呆れるしかない。大会が原因で感染が拡大したら、どう責任を取るのか。それでもシレッと「政府の対策が生ぬるい」などと批判するのか。

■問われる興行主と新聞社の責任

 我々はこの時期に行政の要請を無視して開催されたK-1という興行と、それを後援した2つの新聞社を決して忘れてはならない。新型コロナウイルス禍が収束した後、彼らの責任を問い続けるべきである。