遊園地のとしまえん(東京都練馬区)が2020年以降、段階的に閉園を検討していると報じられた。跡地にはハリー・ポッターのテーマパークが開業するという。TDRやUSJなど大手のテーマパークが隆盛を誇る中、昭和の匂いがする遊園地が消えていくのは何とも寂しい。これも時代なのか。

■プールで女児死亡の直後、ガラガラの園内

華やかなメリーゴーランド

 実は僕は昨年2019年9月にとしまえんを訪れたばかり。昭和40年代初頭、としまえんは夢のような場所だった。ジェットコースターにゴーカート、お化け屋敷、メリーゴーランドと子供が1日いても飽きないだけのパワーを秘めていた。幼稚園か小学校低学年の頃、家族に連れられ、初めてとしまえんを訪れた時、夢の世界にいるような気分だった。身長制限に引っかかってジェットコースターに乗れず、涙が出るほど悔しい思いもした。家族と1日中、真っ暗になるまで楽しんだのはいい思い出である。

 それからほぼ半世紀。50代で再び訪れたとしまえんは、東京ディズニーリゾートに慣れてしまった人間には、テーマパークとしては刺激が足りないものになっているのを感じた。としまえんプールで8歳女児が死亡する事故があった直後だったことが影響していたのかもしれないが、園内はガラガラの状態。(これで大丈夫なのかな)と心配になる程だった。

 昭和のテーストがする施設はノスタルジックで趣があるのだが、それを子供たちが喜ぶかと言えば、そういうものではない。昨秋に感じた危機感が、現実のものになってしまったのが悲しい。

■向ヶ丘遊園、小山ゆうえんち、としまえん…

昭和テースト満載のお化け屋敷

 1983年に東京ディズニーランドがオープンして、日本の遊園地の勢力図も変わってしまったように思う。向ヶ丘遊園(2002年閉園)、小山ゆうえんち(2005年閉園)と、首都圏のそれなりに有名だった遊園地が閉園に追い込まれ、その中にとしまえんも名を連ねるということである。

 巨大資本のテーマパークの寡占状態に中小の遊園地は閉園するか、思い切って資金を投じて生き残りをかけるしかないのかもしれない。閉園を選んだのがとしまえんで、100億円を投じて昭和レトロのテーマパークとして生き残りを狙うのが西武園ゆうえんちということであろう。

入り口から入るとこの長閑さ

 そうした光景を横目に圧倒的な勝ち組の東京ディズニーランド・東京ディズニーシーは4月から入場料金を大人7500円から8200円へと値上げする。大人2人でデートに行ったら駐車場料金を含め軽く2万円を超えてしまうが、それでも多くの人がやってくるのは、それだけ人を惹きつけるものがあるからだろう。

 企業の勝ち負けがここまではっきり示されるのは、もはや残酷ですらある。

 母親に手を引かれて訪れた昭和のとしまえんが消えるのは寂しいが、これも時代の流れと諦めるしかない。今はただ、としまえんに「幼い頃に夢をありがとう」と言いたい。