国民民主党の原口一博衆議院議員(60)が「中国は民主主義国家」とツイートしたことが話題になっている。これは「台湾は中国の一部、核心的利益」と主張する北京政府の代弁者のような人物とのやりとりでなされたもの。それ以前は比較的真っ当な事を呟いていたのはそれほど知られていないのではないか。閣僚の発言の一部を切り取り批判する野党の手法で非難されているのは皮肉としか言いようがなく、おかしな支持者がいる事が招いた、自業自得と言えそうである。

■鳩山元首相を絶賛する相手と応酬

原口一博議員のツイートから

 原口議員の発言に至る経緯を極めて抽象的に表現すれば、内ゲバのようなもの。実は相手である「Mikio Oishi」氏は選挙では原口議員にも投票していた事を公言し、SNSを通じてやり取りをする関係としている。台湾を中国の一部と断言し、鳩山由紀夫元首相を「平和創造者」と絶賛する、有り体に申せば、ちょっと変わった方である。

 原口議員の問題のツイートは1月17日午後0時47分にアップされている。一部を示す。

「中国も民主主義国家です。一党独裁ではないかとの私の問いに共産党一党独裁ではない、他にた6ある(筆者注:「他に6党ある」と思われる)と答えてくれました。彼らにも人権を守る姿勢があります。それを貫いてくれる事を期待しているのです。」

 発端は台湾の蔡英文総統のツイートに対し、原口議員が台湾の民主的プロセスの進展を支持すると、選挙結果を肯定的にとらえるリプライをしたことにある。そこへ「Mikio Oishi」氏がリプライし、意見の応酬となった。

■台湾は中国の一部 重大な内政干渉

 両者のやり取りを簡略化し、以下に示す。

原口:台湾の民主的プロセスの進展を支持する。(蔡英文総統へ)

Oishi:台湾は中国の一部と国際社会は認めている。政治家が台湾の民主的プロセスの進展を支持するのは重大な内政干渉。

原口:台湾は中国の一部だから民主的プロセスがどうなろうと他国の政治家は干渉するな、と言うのはおかしい。

Oishi:第4次台湾海峡危機となるかも知れない時期に、台湾へのそのような態度は火に油を注ぐ。平和を愛する政治家なら、危機を憂慮し、エスカレートを抑える方向に力を注ぐべきではないか。

原口:自分は中国の人権や民主主義を大切にしている人たちへもメッセージを出している。(台湾の)人権や民主主義を唱えると、何の火に油を注ぐのか。天安門事件で戦車に轢き殺された人たちは何を求めていたのか知らないのか。

Oishi:台湾は中国の核心的な利益であり、台湾海峡が深刻な緊張状態にあることについて、認識が一致していない。天安門事件を引き合いに出す理由が不明。戦争屋のフェイクニュースが幅をきかせており、プロパガンダに乗らないことを願う。

原口:自分は中国政府の人と民主主義や人権について話してきた。自分を戦争屋の発想と同じだと言う事実認識はどうなのか。自分は人権と民主主義は普遍的な価値、それを共有したいと言っているだけ。

Oishi:自分も人権と民主主義は信奉している。しかし、それを他国に公然と要求すれば内政干渉。各国の歴史的背景、文化、価値観を尊重せよ。米欧が2つの価値観(人権と民主主義)を口実にイラク、リビア、シリア等に介入して政権転覆を繰り返してきたことを考えるべき。

原口:全く異質のことを共有しようと言ってはいない。中国も民主主義国家。一党独裁ではないかと問うたところ、他に6党あると答えた(中国政府の関係者が?)。彼らにも人権を守る姿勢があり、それを貫くことを期待している。

■鳩山元首相を平和創造者と絶賛

 原口議員は台湾の選挙結果を肯定的に捉えており、リプライしたOsihi氏は民主的に行われた選挙結果の勝者に民主主義の進展を支持する旨を伝えることは(中国への)内政干渉であるとしてきたのである。

 このOishi氏は他の人へのリプライで「香港、新疆、台湾は中国叩きの道具なのに、ワシントンの呪縛にまだ囚われているようです。」と原口議員を批判している。どうやら中国の深刻な人権状況を米国の攻撃材料としか捉えていないようで、北京政府の代弁者と言っても差し支えないツイートを繰り返している。

 また、鳩山由紀夫元首相について「野党政治家の多くが、米欧の香港、新疆、台湾を使った中国叩きに与し、地域の平和と安定と繁栄を損なう自滅行為に走っている時、鳩山元総理の平和創造者(peacemaker)としてのご活躍は大変貴重です。」とツイート。それに比べると原口氏の反論は人権と民主主義という普遍的な価値観を大事にしようというもので、遥かに真っ当である。

■支持層のウイングが左に広がりすぎの弊害か

 やり取りの中で出てきた原口議員の「中国も民主主義国」というのは、ある意味、相手の発言に多少なりともすり寄ったもので、おそらく「形式的には民主主義の形態をとっている」という趣旨で使っているのであろう。「中国は民主主義国ではない」と言えば、相手が激怒して収まりがつかないと思ったのかもしれない。

 一連のやり取りを見ると、Oishi氏のツイートの方が常軌を逸しているように見えるが、そこに多少なりとも阿る形で表現したのが真相ではないか。

 こうした発言の一部だけを捉えて批判するのは野党議員が得意な手法であり、原口議員がそれで自らが批判されるのは自業自得と言える。支持者だけに邪険にできなかったのかもしれないが、支持層のウイングが左に広がりすぎている弊害が出たと言ってもいいかもしれない。