2019年の海外の競馬を自分なりに見続けてきたが、最も印象に残る出来事といえば、ランフランコ・デットーリ騎手(49)の活躍である。今年は英・愛・仏でG1を19勝、自己最多記録を更新した。来年12月に50歳を迎える騎手の奮闘ぶりには驚かされた。

■30歳の時の自己最多記録を48歳で更新

 2001年、30-31歳の時にサキーの凱旋門賞などG1を16勝したデットーリ騎手だが、今年はそれを上回るG1・19勝をマークした。2001年当時はゴドルフィンの青い勝負服がトレードマークだったが、現在は英国のジョン・ゴスデン厩舎の主戦として活躍している。

 19勝の内訳を見るとゴスデン厩舎の管理馬で15勝、それ以外で4勝。ゴスデン厩舎がすごいとも言えるが、G1レースは有力馬に乗ったから確実に勝てるというものでもない。

■”目も眩むようなメンバー”プリンスオブウェールズS優勝

この目も眩むような豪華なメンバー

 個人的に最も印象に残るのが6月19日のプリンスオブウェールズSである。当初、お手馬のエネイブルで出場予定だったが、調整不足で回避。デットーリ騎手は鞍上未定だったクリスタルオーシャンのマイケル・スタウト調教師に電話をかけ、騎乗を志願したという(プリンスオブウェールズS観戦記 土屋真光/週刊競馬ブック7月1日発売号)。

 騎手は馬に乗ってナンボの世界、これだけのトップジョッキーでも騎乗馬を確保するための努力を惜しまないわけで、それも騎手の大事な能力の一つなのであろう。

 ちなみにこのプリンスオブウェールズSで負かした7頭のその後を見てみると、表の通り。およそ半年で重賞10勝、うちG1は5勝である。何と言っても2着が英・愛チャンピオンSを勝つマジカル、3着が後の凱旋門賞馬ヴァルトガイスト。まさに”目も眩むような”メンバーだった。

 おそらく欧州の上半期で最もハイレベルだったレースを、しっかりとテン乗りで制したあたりにデットーリ騎手の非凡さを感じるのは僕だけではないだろう。