衆議院議員の秋元司容疑者(48)が12月25日、東京地検特捜部に収賄容疑で逮捕された。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)への参入を目指す中国企業側から現金300万円を受け取るなどしたという。同容疑者は12月24日夜にTBSの電話取材に対して現金は受け取っていないとして、犯罪は不成立である旨をべらんめえ口調で強調していた。しかし、収賄罪が成立する可能性は十分にありそうである。

■べらんめえ口調で弁明「何でこれが事件になるんだよ」

TBS NEWSのツイッター画面より

 秋元容疑者はTBSの電話取材に対して、以下のように答えている。

「金はもらっていないのは事実だしよ、なおかつその便宜供与働いてないのは事実なんだよ、これは。便宜供与働く場面もねえし。500ドットコム(中国企業)に対し役人も紹介してねえし。彼らが表敬してきたから、『ああどうも』って、言っただけの話だよ。それ以上でもそれ以下でもないんだよ。(容疑は)お金をもらったことしかないわけだろ。で、俺は金を貰ってないんだからさ。何でこれが事件になるんだよ。」(抜粋)

 かなり感情的な話ぶりで、かつ、口調も穏やかではないが、逮捕直前であればこんなものなのかもしれない。要は現金は受け取っていないし、中国企業に対して、何らの便宜を供与した事実もないから収賄罪は成立しないと言いたいようである。

■収賄罪は要求・約束で成立

 ここで収賄罪(刑法197条)について見てみよう。同容疑者の逮捕容疑は現職の国会議員(公務員)だから197条1項前段である。

刑法197条【収賄、受託収賄及び事前収賄】

1 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。

 収賄罪の構成要件は①公務員が、②その職務に関し、③賄賂を、④収受し、又はその要求若しくは約束をした、ことである。

 注目してほしいのは④。収賄罪は必ずしも賄賂を受け取ったことを要しない。秋元容疑者は受け取っていないから収賄罪は成立しないと言いたいのであろうが、実際は要求や、約束をしただけで収賄罪は成立する。これは収賄罪には未遂がないことに関連しており、「本罪が未遂を処罰しないのは要求罪、約束罪が実質的には未遂処罰の機能を有するからである」(刑法各論第6版 西田典之 弘文堂)と説明される。

 同容疑者が実際に現金を収受しているのか分からないが、少なくとも収受していないから、直ちに収賄罪が不成立とはならないことは、はっきりしている。

■収賄罪に便宜の供与は不要 勘違い?の秋元容疑者

 また、同容疑者は便宜を供与していないことも強調しているが、そもそも収賄罪は贈賄側に何らかの便宜を図ることを要しない。これは②の職務に関し、の部分に関連する。収賄罪の「職務」は「公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき一切の執務を指称する」(最判昭和28年10月27日)とされ、「不正な請託の有無や公務員が便宜な取り計らいをするか否かは犯罪の成否に影響がない」(条解刑法第2版 p518 弘文堂)とされる。

 つまり、同容疑者が「便宜の供与をしていない」と強調していた部分は、収賄罪の成否には全く関係ないのである。

 今後についてはどの罪で起訴されるか分からないし、不起訴の可能性もある(特捜部が逮捕して、不起訴はほとんど考えられないが)。

 可能性の話をすれば、逮捕容疑の収賄罪で起訴される可能性はあると思うが、中国企業から何らかの請託を受けていたとして、受託収賄罪(197条1項後段)で起訴される可能性が高いと思う。何の見返りもなく現金等を出すほど、企業も甘くないはずだからである。それについて不正な職務行為をしていれば(又は相当な職務行為をしていなかったら)、加重収賄罪(197条の3第1項)での起訴になると考えるのが自然。

 とにかく、今は静かに成り行きを見守るしかない。