TBSの元ワシントン支局長の山口敬之氏(53)に対するメディアの扱いがひどい。ジャーナリストの伊藤詩織氏(30)との民事訴訟の一審で敗訴した結果、根拠のない批判がまかり通り、無法地帯の様相を呈している。特にビジネスジャーナルが12月20日に公開した記事は、性犯罪の加害者と断じる暴走。日本のメディアのレベルの低さを示した。

■ビジネスジャーナル12月20日公開、精神科医の署名

ビジネスジャーナルの片田珠美氏の記事より

 ビジネスジャーナルが12月20日に公開した記事は「山口敬之氏、性被害者の伊藤詩織さんを批判し続ける理由…『復帰への期待』と『特権意識』」というもの。精神科医の片田珠美氏の署名があり、同氏の語りの形で山口氏が伊藤氏を批判する理由を分析している。

 まずはその内容を見てみよう。書き出しの部分。

「裁判で性犯罪の加害者と認められた人物が会見を開いて、被害者を一方的に批判し、判決が不当だと公に主張すれば、バッシングを浴びることは、冷静に考えれば容易に想像できそうなものだ。本人にとっても利するところがなさそうに思われるが、こうした行動を山口氏がとるのはなぜなのか?」

 書き出しからこれである。山口氏を「裁判で性犯罪の加害者と認められた人物」としている。このスタンスは最後まで変わらない。

「裁判で性犯罪の加害者と認められたことは、エリートの山口氏にとって耐えがたい屈辱だろう。」

「いずれも、自己防衛のためにほかならない。だから、客観的に見てどうであろうと、山口氏は自らの罪を否認し、伊藤さんを批判し続けるはずである。」

 ご覧のように、山口氏を性犯罪者と根拠なく断じ、自己防衛のために被害者を攻撃する人間としているのである。もはや言うべき言葉も見つからない。

■人権侵害を容認 これが日本のメディアの現在地

 一応、説明しておこう。本事案は伊藤詩織氏が刑事告訴している。しかし、検察官は不起訴とし、検察審査会も不起訴相当と議決した。つまり、検察官は犯罪の立証が困難であると考え、一般市民で構成される検察審査会もその判断が正しいと結論を下したのである。

 刑事裁判の原則に「推定無罪の原則」がある。有罪判決が確定するまで犯罪者として取り扱われない原則と考えていい。それは被告人の権利・利益を守るためである。山口氏は有罪判決どころか、起訴すらされていない。

 それが民事訴訟の一審で敗訴したら「裁判で性犯罪の加害者と認められた」とするのはどういう理屈なのか。山口氏は繰り返し「私は犯罪者ではない」と言っている意味を、片田珠美医師は理解できていなかったようである。

■他者の心の痛みを想像できない精神科医?

 さらに言えば、山口氏だけでなく、その家族がこれを見てどう感じるかということを、片田医師は想像できないのか。多感な時期の子供が刑事責任を問われていない父親を「性犯罪の加害者」と書かれた時の心の痛みを精神科医が理解できないのであれば、医師としての適性を欠いていると言わざるを得ない。

 また、ビジネスジャーナルの編集担当が記事を公開したことは、著しい人権侵害を容認していることに他ならず同罪である。このレベルの記事が作成され、公開されるのが日本のメディアの現在地。中世の魔女裁判と同じようなことが、21世紀の日本で行われている現状を我々はよく認識しなければならない。そして、このような報道被害が生じないようにメディアを監視し続けることを心すべきである。

 山口氏とその関係者には、片田珠美医師とビジネスジャーナルを名誉毀損で告訴し、損害賠償請求を提起することをお勧めする。