群馬県の草津町の町長から「強要され肉体関係を持った」と告発していた同町の新井祥子議員(50)が12月2日、失職した。除名処分を求める懲罰動議が可決されたことによるもの。同氏の告発は、電子書籍「草津温泉 漆黒の闇 5」(飯塚玲児著)に掲載されている。それによると同氏は町長に好意を寄せており、さらに町長室での出来事について「本当に嬉しかった」と告白しているのである。彼女は勇気ある告発者なのか、それとも三文芝居の演者なのか。

■”町長派の”旅館経営者と肉体関係

町長とのツーショット写真付きの告白文(草津温泉 漆黒の闇 5より)

 当該電子書籍では新井祥子元議員作成の文書①~③と、同元議員へのインタビューが掲載されている。その内容を選挙結果等と合わせて簡単に時系列にまとめた。

2006年:群馬県桐生市の新井祥子氏が湯治客として初めて草津温泉を訪れる

2007年:B旅館のS氏とB旅館で性的関係を持つ

2010年:草津町議会の補欠選挙に出馬し、落選(園田祥子名、立候補5人中5位)

2011年:現職のG議員の応援を受け町議会議員選挙で当選(新井祥子名、立候補13人中12位)。G議員から黒岩町長の悪口を自分が発行する新聞(しょこたん通信のことか)に書くこと、会話を録音するよう言われ、実際に行なう。町長に近づいていくうちに、黒岩町長に好意を抱く

2014年:黒岩町長の2期目の選挙で応援を行う

2015年1月8日 町長室内で性的関係を持ったと主張 

     4月21日 草津町議会議員選挙で落選(立候補14人中14位)

     6月17日 A旅館のN氏と高崎市内のホテルで関係を持つ

2019年:草津町議会議員選挙で当選(立候補13人中12位)

 なお、新井祥子元議員が関係を持ったA旅館のN氏、B旅館のS氏は、彼女の告白によると、町長派の人物であるという。

■これでセクハラ?「気持ちが通じたときは本当に嬉しかった」

新井祥子元議員の告白文(草津温泉 漆黒の闇 5から作成)

 「グッとラック」(TBS系)などのテレビでも大きく報じられたこの案件であるが、書籍を読むとテレビで伝えられるのとはかなり印象が異なってくる。

 当該書籍によると、新井祥子元議員は反町長派のG議員の応援を得て初当選した。そのため、G議員から町長の悪口を書くこと、会話を録音するように言われ、その通りにしていたという。しかし、近づくうちに町長に好意を持ってしまったらしい。そのあたりは2019年6月に彼女が書いた文書①で好意を持っていることが明かされている。また、8月に書いた文書②がそのまま当該書籍に掲載されているので、以下に引用する。

「私は、政治を目指した頃から、黒岩信忠町長に憧れていました。…女性に対しては、紳士的で、優しい振る舞いはスマートで、洗練された雰囲気があり、好感を持っていました」

「黒岩町長に近づいていく中で、B旅館のSさんが積極的に親身になって励ましてくれる中で、関係を持ってしまいました。けれども、私が本当に好意を抱いていたのは黒岩町長でした。G議員に言われ、黒岩町長に近づくうちに、黒岩町長を本当に好きになってしまいました。町長室で二人きりになった時に、私の気持ちが通じた時には本当に嬉しかったです

 この告白文には黒岩町長と新井元議員のツーショット写真も掲載されている。新井元議員は町長の腕を抱え込み、親密そうな様子で写っている。

■10月になると微妙な変化「受け止めることしかできなかった」

 町長との関係について記した文書②について取材を受けた後、新井元議員は著者の飯塚氏に対して文書③を送付。そこで町長室での関係について、こう書いている。

「私は、求められて、嬉しい反面、不安や複雑な気持ちを感じながら聞いていました。拒んだら、町長の気持ちが離れてしまう、私を応援してくれる人、選挙のこと、トラブルのことなど、色々なことが頭を駆け巡り、受け止めることしかできませんでした」

 その後、町長室で悩んでいた問題について話をして、満足な結果が得られたことから、このように書いている。

「私は町長を想う気持ちや不安に思う気持ちを受け止めてもらえたと思い、とても幸せな気持ちで町長室を後にしました」

 町長との行為について微妙に思いを後退させているものの、部屋を出るときは「とても幸せな気持ち」であったとしているのである。それが自分の政治問題を解決してくれる話を受けた後とはいえ、強制性交された後に「とても幸せな気持ち」などと書けるものなのだろうか。

 なお、3つの文書の主な内容は表にまとめたので参考にしていただきたい。

■三文芝居?真実は裁きの場で

 このように憧れの黒岩町長との関係を喜んでいた新井元議員が町長と決別したのは、黒岩町長の態度の変化にあるという。新井元議員が2期目の選挙(2015年)で落選。再起をかけた2019年の選挙で当選を果たしたが、黒岩町長は以前とは全く異なる態度で町長室にも入れてくれないようになったという。

 そうした経緯から「私の町長に対する気持ちは愛情から、不信感に変わっていきました」(文書③)と記している。

 以上を読む限り、準強制性交や準強制わいせつの事実があったとは、とても信じられない。肉体的な接触はあったかもしれないが、刑事責任を問われるような性質のものではないだろう。少なくとも文書を見る限り、新井元議員による茶番、三文芝居ではないかと思われる。町長は名誉毀損で告訴したようであるから、後は司法が判断してくれるであろう。