タレントのラサール石井氏(64)の11月16日のツイートが話題になっている。沢尻エリカ容疑者が麻薬取締法違反容疑で逮捕された事について、政府が都合の悪い時に芸能人が逮捕されるとし、次期逮捕予定者がいて、誰かが(逮捕に)ゴーサインを出している、というものである。こうした理解に苦しむ主張は、かつてのオウム真理教を彷彿させる。

■逮捕にゴーサインを出せるのは裁判官

ラサール石井氏のツイートから

 ラサール石井氏のツイートの全文は「まただよ。政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される。これもう冗談じゃなく、次期逮捕予定者リストがあって、誰かがゴーサイン出してるでしょ。」というもの。

 ラサール石井氏の頭の中では「桜の会の問題で政府が対応に追われている。そろそろ国民の目を逸らすために、芸能人を逮捕するか。よし、沢尻エリカを引っ張ってこい!」と命令を出している人物がいるのであろう。元芸能人枠の田代まさし容疑者も、その類いなのかもしれない。

 ちなみに捜査機関による逮捕に最終的にゴーサインを出せる人は、逮捕状を発付する裁判官(刑事訴訟法199条2項、210条後段)。「明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」は逮捕状の請求は却下される(199条2項、刑事訴訟規則143条の3)から、最終的な逮捕の可否を決めるのは裁判官である。ラサール石井氏は裁判官が次期逮捕予定者リストを見て、ゴーサインを出していると言っているに等しい。

■ラサール石井氏とオウム真理教の共通点

 ラサール石井氏にあれこれ言うのもバカバカしいが、我々はこうした根拠のない思い込みを、あたかも事実のように言い出す人たちを目にしてきた。

 若い方はご存知ないかもしれないが、1990年代に数々の凶悪犯罪を起こしたオウム真理教の信者たちである。例えば、当時のオウム真理教の幹部が主張していたのは以下のようなことである。映像はこちら

・オウム真理教は米軍から毒ガス攻撃を受けている。

・阪神・淡路大地震(兵庫県南部地震)は大国による地震兵器によるものである。

 高学歴の信者が多かったオウム真理教だが、このような滑稽な主張を大真面目に主張し、信じ込んでいた者が多数存在した。証拠は示せないが自分はこうだと信じている、悪い連中はこういうことをしているに違いないと信じ込むのは、もはや論理的に物事を考えられなくなった証。

 ラサール石井氏のような有名進学校を卒業し、論理的に物事を考えることができるはずの人もこうなってしまうとは…。「ひょうきん族」をリアルタイムで観て、ラサール石井氏の活躍を知る世代としては、何とも悲しい状況である。ついでに言えば、ラ・サール高校の後輩たちは、OBの言動にとても恥ずかしい思いをしていると思う。