首里城が10月31日未明に正殿などが焼失した件について、沖縄県の玉城デニー知事が11月1日、菅義偉官房長官ら閣僚に再建へ国の支援を要請した。政府も前向きに取り組むことを約束したが、一連の知事の言動にはどうにも違和感を覚える。首里城消失の被害者の面を強調しているが、まずは管理者として「すみませんでした」が先ではないのか。 

■韓国から急遽戻った玉城デニー知事

消失した首里城正殿(2011年8月撮影)

 玉城デニー知事は首里城焼失を受けて、韓国訪問の日程を繰り上げて沖縄に戻り現場を確認したという。

 「イメージの中にあった首里城の姿がそこにはない。非常に大きなショックだった。県民や、遠く離れて暮らす県系人にとってもアイデンティティーの象徴である首里城は絶対に復元させないといけない」と語ったという(琉球新報電子版11月1日)。

 その後、菅義偉官房長官、衛藤晟一沖縄担当相、赤羽一嘉国土交通相らと会談して、再建について要請したという。

■被害者と同時に管理責任者 まずは「すみません」だろう

 沖縄の象徴・首里城の再建に反対する人はいないと思う。それに向けて沖縄県知事が努力するのは当然である。しかし、それ以前に、なぜ焼失したのかをはっきりさせなければならない。

首里城正殿内の様子(2011年8月撮影)

 首里城は国の所有であるが、2019年2月1日から沖縄県に移管された。つまり国、国民の財産の管理を沖縄県が行なっていたのである。移管からわずか9か月後に正殿などが焼失した事実を知事はどう考えているのか。

 本来であれば沖縄県の管理責任が厳しく問われ、閣僚を訪ねた際には「管理不行届で貴重な国民の財産を焼失させてしまったことは大変、申し訳ない」と、まず謝るのが筋である。その上で再建について協力を要請すべき。

 国の財産を焼失させた責任を負うべき管理者が、自分の責任には触れずに「大事な物が燃えてしまってショック。再建するから金を出して」は普通の感覚では言えない。実際には触れたのかもしれないが、そのような事実は伝えられていないことを思うと、おそらく謝罪の言葉はなかったのではないか。

■玉城デニー知事主導の再建プランでいいのか

 玉城デニー知事は首里城焼失という事実について、被害者であると同時に管理責任を負うべき立場にある。それが被害者の立場のみを主張しているとしたら、無責任と言うしかない。

 会談した閣僚からもそうした話がなかったとしたら残念でならないし、メディアもそのような追及をする様子もない。管理者である知事が責任を負う気がないなら、再建しても、また消失するのではないか。そう考えると、玉城デニー知事主導の再建プランは、砂漠に水を撒くような虚しさを覚える。