10月12日から13日にかけて東日本を縦断した台風19号は死者47人を出したと伝えられている。この台風の報道を通じて、ネットの影響力があらためて示され、テレビなど旧媒体の限界が示されたと思う。

■台風19号で特定の地域の情報発信

10月12日の調布市付近の野川の様子

 台風19号については僕自身、野川(三鷹市・調布市付近)の状況を伝えた。12日午後4時の段階で水位がかなり上昇したこと、13日午前7時には通常の水位に戻ったことを写真付きで公開。これが結構なPVとなり、「よく伝えてくれた」という趣旨のコメントもいただいた。

 野川自体は小さな河川であるし、最終的に三鷹市や調布市では氾濫しなかったのでテレビなどの旧媒体でも伝えられることはなかった。そうすると、そのあたりの情報がほしいという方はテレビの前で待っていても全く情報は入らないわけで、必然的にネットを頼ることになる。

 テレビもカバーできる範囲は限られる。氾濫していない河川、それほど大きくない河川にまで手が回らないのは仕方がない。

■ネットの威力を感じさせられた秋川の氾濫

 それもあって僕は台風の時はネットをチェックしていた。するとツイッターで10月12日午後6時36分に多摩川に合流する秋川が氾濫したことを写真付きでアップされた方がいた。

 一方、多摩川の支流である秋川の氾濫が伝えられたのはメインメディアは遅く、確認できる範囲で見ると朝日新聞が12日午後10時45分に東京都が秋川が氾濫したことを発表したことを報じている。それでも早い方であるが、ツイッターでアップされてから4時間以上遅れている。しかも朝日新聞は東京都の発表を受けての報道であるから、同社が秋川の氾濫の事実について確認できているわけではない。

 一新聞社に、都内すべての状況をリアルタイムで確認できるわけがないから、それもやむを得ないことである。考えるべきはインターネット、殊にSNSの発達、普及によって、一般の人々が情報発信手段を手にした点。それによってメディアによる情報発信機能の独占体制が完全に崩れたことは見逃せない。

■情報発信手段の独占体制が崩れたことの影響

 情報発信手段の一般化によってフェイクニュースの発生や、あるいは他者への誹謗中傷が簡単に行われるなどの弊害はある。しかし、多くの人が大量の情報を手にすることができるようになったメリットは大きく、今回のような災害時には決定的な役割を果たすこともある。

 ネットが旧媒体の情報を拡散すると同時に、旧媒体が伝えきれない部分までカバーしているという関係にあるのは間違いない。このような関係をどう表現すればいいのか。

 テレビなどの旧媒体は「ネットの補完的な役割」とまでは言わないが、旧媒体はネットの力なしにその存在を続けることは難しいと言っていいかもしれない。

 国民の生命や財産に関わる重大な事案と、SNSの果たした役割を目の当たりにした、ここ2、3日、メディアは新しい時代に入っていることを実感させられた次第である。