東京新聞の望月衣塑子記者が、9月12日の菅義偉官房長官の記者会見でおなじみのおかしな質問をした。徴用工問題について2013年に韓国大法院が高裁に差し戻した際に、日本政府・安倍政権が新日鉄住金などに和解や判決に従わないように釘をさしたことなどが、日韓の緊張を高める一因となっているというのである。慶應義塾大学で法律を学んだ記者が、なぜ、このような愚かな質問をするのか。

■条約の不履行を正当化する根拠としての国内法

望月衣塑子さん、条約法条約を知らないの?

 望月記者はこの日の会見でこのように聞いている。「大法院判決が出た後の昨年の11月の国内企業の会合で、政府は企業に和解や判決に応じないよう釘を刺されています。かつ、2013年に大法院が高裁に差し戻しを行なった際も判決に従うとしていた新日鉄住金に対して、当時の安倍政権、応じないように求めています。安倍政権のこのような一連の動きが結果として日韓の緊張をさらに高めているのではないでしょうか」。

 国際法と国内法の関係という国際法では初歩の初歩の部分を知っていれば、このような質問をすることは時間の無駄であることがわかる。端的に言えば、条約法に関するウィーン条約(条約法条約)27条を見ればいい。

条約法条約27条 (国内法と条約の遵守)当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。(以下略)

 韓国は国内法を適用して、日本企業への損害賠償請求を認めた。しかし、日本と韓国では1965年に、財産、権利および利益に関する請求権については完全かつ最終的に解決され、いかなる主張もすることができないということが日韓請求権協定で定められている。

 韓国側はこの合意を国内法を根拠に無効化しようとしているのだから、条約法条約27条に抵触し、認められないのは当然。条約に反する行為に対しては「一切、認めない」という以外に対応などあるはずがない。言うまでもなく、日韓双方は条約法条約の当事国である。

■慶應義塾大学法学部で何を学んでいたのか

 まさか望月記者はこんな基礎的なことを知らないのであろうか。もし、知らないとしても、国内法で国際的な取り決めを反故にできるのであれば、今後の日韓の交渉は韓国政府だけでなく韓国大法院の代表者も同席して、両者と条約を結ぶしかないというおかしな状況になってしまうことぐらい直感的に分かりそうなものだが。

 学芸大学附属高校から慶應義塾大学法学部という、眩しいぐらいの学歴を持つ記者としては何ともお粗末。このレベルの記者を持ち上げるメディアの存在が、現在の日本のメディアの絶望的な状況を示しているように感じるのは僕だけだろうか。

 僕はこの望月記者に対する評論家の石平氏の言葉が忘れられない。

 「彼女のやっていることは、何のリスクもない民主主義国家で意地悪質問で政府の記者会見を妨害するだけだ。」

 この言葉が、望月氏の何たるかを示す、最も適切な表現であると思っている。