埼玉県の公立小学校の男性教諭(30)が、小学校6年生の女子児童への個別指導中に下半身を露出したとして、懲戒免職処分になったと埼玉新聞が伝えている。目をつむって触ったものの名前を当てさせるゲームを行い、両手でタオルを持って目を隠すように指示して、下半身を露出したという。もうクレイジーとしか言いようがない。

今でも許し難いと感じる行為

 この卑劣なニュースを目にして、僕の記憶の中にある嫌な思い出が蘇ってきた。昭和の時代にも、ここまでとは言わないが許し難い行為に及ぶ先生はいた。僕が小学校5年生の時の担任の先生は中年の男性で美術が専門のN先生。僕はこの先生が大嫌いだったのだが、それはある事件がきっかけになっている。

■浴槽にカメラを持って入ってきた男性教諭、始まった写真撮影

 林間学校か何かに行った時のこと。宿舎のお風呂は銭湯のような大きな湯船で、僕たち小学生はみんなで浴槽に入っていた。その時にN先生がカメラを持って浴室に入ってきたのである。先輩などから噂のような形で聞いていたのは、N先生は男子生徒の入浴中の姿を写真撮影して、後日、教室に貼り出すということ。(まさか)とは思っていたが、噂話は本当だったのである。

 僕はびっくりして、すぐに湯船に入ってカメラの前から姿を隠し、N先生が出ていくのを待った。浴室内では「えー!」みたいな感じで騒ぎになったが、豪胆と言うべきか、笑っていた同級生もいた。N先生は僕たちに構うことなく、何枚も写真を撮影。中には局部を撮影されたと思われる生徒もいた。

 その時、僕の横にはモチダ君がいたのだが、彼も同じ気持ちだったのか、僕と一緒に浴槽に入ったままN先生が出ていくのを待った。お風呂は熱くて目眩がしそうになったが、湯船を出たら写真を撮られると思ってじっと耐えるしかなかった。N先生は僕とモチダ君が上がるのを待っているようにも見えた。5分、10分。時間が長く感じた。

■湯船の中に隠れた10分間、粘り勝ちした僕と友人

 結局、僕とモチダ君が粘り勝ちして、N先生は浴室から出ていった。10歳前後というのは敏感な年頃である。そんな僕たちに対して、先生は絶対的な権力を持っている。僕たちにすれば性的な嫌がらせでしかない行為であるが、それでも声を上げることができなかった。そういう時代であったのだ。

 旅行から帰って何日かして、林間学校の写真がクラスに貼り出された。美術系の先生だけあって、旅の思い出の写真はさすがに美しく撮れていた記憶がある。しかし、やはり入浴している写真も何枚も貼り出されていた。その中に、シマダ君という友達の局部が丸見えの写真があった。シマダ君が1人で写っている写真は、両手両足を広げて「さあ、見てくれ」というようなポーズになっている。シマダ君が悪ノリしたように見えるが、写真だけでは真意は分からない。

 写真を見ている友達の中にシマダ君がいるのを見つけた僕は「何でこんなポーズしたんだ?」と聞いた。するとシマダ君は泣きそうな顔でこう言ったのである。

 「撮られそうになったので、慌てて手で隠そうとしたら、隠す前に撮られたんだ」

■教室に貼り出されたシマダ君の局部の写真

 それを聞いて、僕はN先生に対して心底、怒りが湧いた。思春期手前の敏感な年頃の少年の性器がモロに写っている写真を撮り、それを教室内に貼り出すとは。女子生徒も見るのである。

 信じられないかもしれないが、こんなことが昭和の時代の僕の小学校では行われていたのである。教師に対して逆らえないという状況を利用して強制的に入浴中の写真を撮影した行為は準強制わいせつ(刑法178条1項)、シマダ君の局部が写っている写真を貼り出した行為は猥褻物陳列罪(刑法175条1項)だろう。準強制わいせつは以前にも書いたが「性的意図(超過的内心傾向)」は不要というのが現在の最高裁の判例(平成29年11月29日)であるから成立すると思う。

 今の時代であれば、N先生は間違いなく懲戒免職だろう。大人に抵抗できない子供の人権を守ることは、極めて重要である。冒頭の下半身を露出した先生の話を知り、改めてそれを思った次第である。