7月20日の宮迫博之さんと田村亮さんの会見を受けて、所属タレントの闇営業に関する問題は、今後は吉本興業がどのような対応をするかが焦点になった。同社が通常の企業統治を行う会社であるなら、岡本昭彦社長の退任は免れない。

■決定的だった虚偽の事実を訂正しない不作為、所属タレントへの圧力

吉本興業は自らの不作為の重さが分かっているのか

 決定的なのは宮迫さん・田村亮さんが闇営業でギャラを貰ったと真実を告げた後も「今更ひっくり返せませんよ」「ずっと静観でいきましょう」と、いったんは公表した虚偽の事実を訂正しなかった不作為である。

 事実が明らかになった時点で、先にした説明を訂正して真実を明らかにした上で謝罪するのが企業の求められる姿。それをしない不作為は反社会性を帯びると言っても過言ではない。

 確かにスタートは、宮迫さんらによる虚偽の事実の申告であった。しかし、通常、闇営業でギャラが発生しないことは考えにくく(ノーギャラなら闇営業をするメリットがない)、「その説明では誰も納得しない」と言うのが興業を行う会社として当然であり、追及が甘かったと言われても仕方がない。

 仮に、その判断の甘さは大目に見るとしても、見逃せないのは宮迫さんらが真実を告げた6月8日以降、2週間以上何らの措置も取らなかった不作為である。吉本興業は当初、所属タレントの言を信じて故意なく虚偽の事実を発表していたことになるが、真実を知った後にも6月24日の発表まで何らのアクションも起こさなかったのは、発表された虚偽の事実を容認したということであり、それは故意に虚偽の事実を発表したに等しい。

■宮迫さんの会見での裏の訴え「6月8日以後の責任の所在」

 宮迫さんに「ずっと静観でいきましょう」と社員は言っていたそうだが、それは当然、経営の指示であろう。経営陣が「社会を欺いたまま、嵐が通り過ぎるのを待とう」と決め、宮迫さん、田村亮さんが会見で真実を伝えたいという願いを事実上、拒否し続けたのである。つまり、6月8日以前は宮迫さんらの責任であるが、それ以後は、吉本興業が社会を欺いていたと言っていい。

 そう考えると宮迫さんらの会見は「6月8日以後の責任の所在をはっきりさせてください」という訴えであったと、とらえられる。

 吉本興業にも言い分があるだろう。何より、所属タレントが禁止されている闇営業を行い、その上、虚偽の事実を申告して、それを信じてタレントを守るスタンスを決めたのである。それを止まない批判に動じたタレントから「自分の口で真実を伝えたい」と言ってきたら、(自分たちで仕出かしておいて、何を都合のいいことを言っているんだ)(会社を悪者にして、自分たちは批判から逃れたいのか)と言いたくなるのは感情面では分からないでもない。

■企業に求められる高いモラル、吉本興業は感じているか

 しかし、それは吉本興業の初動の調査の甘さ、不適切な判断が主要因であり、また、企業は社会的存在として高いモラルが求められることを思えば、吉本興業がとるべき方法は真実を速やかに明らかにすること以外になかったはずである。

 明日7月22日に社長が会見するようであるが、おそらく、当初、宮迫さんらが虚偽の申告をしたということを中心に自己弁護をすると思われる。大事なのはそこではない。真実を告げられた後の不作為をどう考えるかである。岡本氏がそのまま社長の座に居座るようであれば、社会は許さないと思う。