15日からの中央競馬で156頭が競走除外となった。競走馬に与えるサプリメントから禁止薬物テオブロミンが検出されたため、当該サプリメントを購入した28の厩舎に所属する156頭を競走除外としたものである。2日間で983頭が出走予定だったので、15.9%に相当する。

本当に競馬開催をしていいのか?

 こうしたサプリメントは販売前に競走馬理化学研究所で薬物検査を受ける規則になっているそうだが、今回は検査結果が出る前の製品が流通していたと報じられている。

 競馬が終わった後に156頭から禁止薬物が出る事態を考えれば、事前に除外できただけでも良しとせねばだろう。レース後の尿検査は全頭は行わないので156頭から出るということは現実的にはないだろうが、それでも10頭、20頭から検出された可能性はあったと思う。

 もっとも、なぜ検査結果が出る前の製品が流通していたのか、なぜ事前検査のルールが機能しなかったのかは調査中だと報じられている。その原因が明らかにした上で万全の対策をとらなければ、他のサプリメントを使用している厩舎の競走馬から禁止薬物が検出される可能性は排除できない。そうであれば、問題点がはっきりするまで競馬開催は中止すべきであろう。そもそも今週、競馬を開催していること自体がおかしい。尿検査で禁止薬物が出たら、JRAはどう釈明するのか。開催ありきの姿勢には大いに疑問を感じる。

 僕が競馬担当になった1985年夏、当時はステートジャガー事件の余波があった。これは同年の宝塚記念で1番人気になったステートジャガーの尿から禁止薬物のカフェインが検出され、警察の捜査を受けたというもの。結局、真相は藪の中だったが、当時の中村好夫調教師、田原成貴騎手も事情聴取を受け、後日、中村調教師は半年間の調教停止処分を受けている。

 そういう時代だったので、僕も厩舎関係者と話した時に禁止薬物については「本当に怖い」という話を聞かされた。当時は競馬ブームでファンが厩舎を訪れることもあったが、ファンは禁止薬物についてほとんど知識がないから、たとえば、夏の暑い日に溶けたチョコレートがついた手でニンジンを与えたりすることもある。そうなると、厩舎関係者が知らないうちに競走馬がカフェイン摂取という事態も想定される。そのため厩務員はニンジンをあげるファンに「チョコレート食べてないよね、とか事前に聞くようにしている」と、結構、気を遣っている現実を話してくれた。

 それなのにJRAの関連会社が禁止薬物入りのサプリメントを販売しているとは、もう「お粗末」と言うしかない。本当に競馬開催をしていいのか。JRAが自分でやめる気がないようなので、ここは農水省の競馬監督課にしっかりと指導してもらいたい。