自分にとっては別世界の話のように感じていた特殊詐欺が、本当に行われているんだなというのを実感させられる出来事があった。今日6月5日午後、知人から不審な電話に関して相談があった。その内容が、どう聞いても詐欺以外の何物でもないという事案だった。

 某有名デパートの社員を名乗る男から自宅に電話がかかってきたのだが、それによると以下のような内容であったという。

詐欺師どもを許してはいけない

(1)あなたのクレジットカードを使ってデパートで中国人が高価な時計を買おうとした。

(2)不審に思ったので売るのを断り、その件で、あなたのところへ電話をした。

(3)その中国人は既にあなた名義のカードを作成、使用しており、このままでは好き勝手に使われて大変なことになる。

(4)カードを今すぐ、使用停止にした方がいい。その手続きをしてあげる。

(5)これから言うクレジット会社の電話番号に電話して、あなたのカード情報・個人情報を伝えてほしい。

(6)電話番号は050●-●●●-●●●●

 ちなみに「特殊詐欺」とは、振り込め詐欺と振り込め類似詐欺の総称である。

 自分の個人情報を伝えるためだけにクレジット会社に電話をするなどということが、あるはずがない。カード番号に個人情報、クレジットカードの裏面にあるセキュリティーコードを知ることができたら、ネットで好きなだけ買い物ができる。詐欺師は高価な買い物をして、換金が可能。それが狙いなのであろう。

 知人が「どうしよう」というので、僕がすぐに所轄の警察署へ電話をかけた。代表番号にかけて「振り込め詐欺の類の詐欺の情報提供をしたいのですが」と言うと、生活安全課に回された。一連の話をすると担当者はたった一言「完全に詐欺です。絶対に情報を教えないでください」。

 警察が迅速に対応をしてくれて「被害が出る前に本人と連絡が取りたい」というので、すぐに知人に警察署に電話をかけさせた。知人は警察から詐欺であることを言われて、警察の指示通りに050で始まるIP電話には電話をしなかったという。おそらく警察からそのIP電話へ連絡が入り、警告が出されたのであろう。もしかすると、捜査に入っているのかもしれない。

 専門的な話をすれば、今回のような電話はいわゆる2項詐欺未遂(刑法246条2項、250条)にあたると思う。クレジットカードの情報を入手することは、「財産上不法の利益を得」(246条2項)に相当し、財産上不法の利益を取得しようとして人を欺く行為を開始しているので、詐欺の実行の着手が認められるのではないか。財産的処分行為は行われていないから、未遂にとどまると考えるのが一般的。

 そういうわけで、この類のおかしな電話があった時は近くの警察署に相談すれば、すぐに対応してくれるので、迷わずに警察に電話を。110番通報ではなく、所轄の警察署がいい。23区内なら03-●●●●-0110という番号になる。ネットで調べれば出ているので是非とも利用していただきたいと思う。