農水省の元事務次官・熊澤英昭容疑者(76)が2019年6月1日、殺人未遂容疑で逮捕された。息子の英一郎さんを包丁で刺したという。その後、英一郎さんは死亡したというから、殺人容疑に切り替えられるのは確実と思われる。

東大ー農水次官の末の凶行

 僕は2000年ぐらいから農水省の競馬監督課によく取材に出向いていたが、当時の事務次官が熊澤英昭容疑者だった。直接、取材をしたことはないが、名前だけはよく聞いていたし「いずれ、次官にも取材ができれば」とは思っていた。BSE騒動の時にはメディアにもその名前は登場していたから、思い出した人も多いかもしれない。

 それがまさか名前の後ろに「容疑者」が付けられるとは…。しかも殺人未遂。第一報を目にした時は「嘘だろ…」と言葉を失った。

 エリート中のエリートである熊澤容疑者は、犯行後、自ら通報したというから責任能力は問題なさそうだし、正当防衛など違法性阻却事由がなければ70代後半からの人生を刑務所で過ごすことになる。東大法学部を出て、農水省で官僚のトップの地位にまで上り詰めた末の凶行。彼が80年近い人生を振り返った時に、自分の人生をどう評価・総括するのか。

 東大理学部卒で、オウム真理教の幹部だった豊田亨死刑囚は昨年、死刑を執行された。当たり前のことだが、東大を出たから幸せな人生を送れる保障を得られたということではない。

豊田亨はもうこの世になく・・オウム真理教事件の虚しさ

 こういう事件があると、「人間の幸せとは何なのだろう」と思う。しかも、自分の子供を刺殺とは…。

 今は、亡くなられた熊澤英一郎さんのご冥福を祈るのみである。