「北朝鮮の脅威を政治利用」発言に関口宏さん同意、彼らの真意はどこに?

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

12月10日放送のサンデーモーニング(TBS系)でジャーナリストの大宅映子さんが北朝鮮のミサイル・核開発の問題に関して「日本の場合、ちょっと心配なのは『国難』って言ってね、政治利用するみたいなところもちょっと不安というところがありますね」と発言したのに対して、関口宏さんが「ありますねえ」と同意していた。

「政治利用」という趣旨は常識的に考えて「北朝鮮からの脅威は本来、それほど重要視すべき事柄ではないのに、自分の政治主張を実現するために都合よくアピールする材料にすること」を意味するのだろう。

要は憲法9条の問題なのか?

ミサイルを何発も日本のEEZ内に撃ち、核実験を行い、日本を「海に沈める」などの挑発的な言辞を繰り返す昨今の北朝鮮の行動は、我が国にとって戦後最大の脅威と言ってもいい。それについて大宅さんらの言う「政治利用」とは何を指しているのだろうか。彼らの胸の内は正確には分からないが、おそらく「北朝鮮の脅威を煽って、憲法9条の改正を果たそうとしている」という趣旨のことだと思われる。

国の交戦権を認めず、戦力の保持を禁じた憲法9条の定めは、現代社会では非現実的なものになっている。そのため「現行憲法では北朝鮮などの無法者の国家による脅威に対して、国民の生命や財産を守ることが困難になっているから、改正しましょう」というのはごく当たり前の主張だと思う。

その意味では確かに現段階では北朝鮮の脅威こそが、憲法9条改正の必要性を示す最大の具体的根拠と言っていい。北朝鮮の脅威の事実を示すことは「9条改正の必要性を説明する根拠の一つ」であって、それをイメージの悪い言葉で言い換えると「政治利用」となる。

つまり大宅さんも関口さんも、「改憲の必要性の根拠として北朝鮮を用いるな」と言いたいのだろう。それを理由として持ち出されて、国民が9条改正の必要性を感じてしまうのを恐れているのかもしれない。

憲法改正をめぐる正々堂々の議論をせずに、とにかく「改憲に反対」という地点で彼らの思考は停止し「国民に十分な議論の材料を与えてはいけない」と言っているように僕には感じられる。極論すれば民主主義の否定。

彼らが自身の政治主張として信じることを発言するのは構わない。問題はそうした非現実的、かつ、国民を憲法の議論から遠ざけようとする見解だけを反対意見もなしに一方的に電波に乗せる放送局の姿勢だと思う。

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