朝日新聞社説 4日前の主張と矛盾してないか?

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 天皇誕生日の12月23日は、朝日新聞の社説をとりあげる。タイトルは「防衛費の拡大 米兵器購入の重いツケ」

空母は巨額の費用に見合う効果があるのか

 2019年度の当初予算案で防衛費が5兆2574億円とされ、今年度当初より1.3%増加し、5年連続で過去最大になったことに関して、問題にしている。その上で米国製兵器の購入に拍車がかかっていること、特に特に目立っているのが、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備費1757億円と、F35戦闘機6機の購入費681億円であると朝日新聞は書いている。F35はいずれは空母化される「いずも」での運用が想定されるとしているが、それはいい。

4日前に書いたことを忘れたの?

 この点について「陸上イージスにしろ、空母にしろ、巨額の費用に見合う効果があるのか、大きな疑問符がつく。」としているが、この部分、よく覚えておいていただきたい。

 そして、このような高額な兵器の購入は分割払いが通常で、後年度負担は将来の防衛費のなし崩し的な増加につながるとしており、さらに「厳しい財政事情の下、費用対効果を見極め、優先順位をつける必要性は、防衛費といえども変わらない。歯止めなき予算増は、とても持続可能な防衛政策とは思えない。」と結んでいる。

 以上が概要だが、問題点は2つある。

 まず、先ほど強調した「陸上イージスにしろ、空母にしろ、巨額の費用に見合う効果があるのか、大きな疑問符がつく。」という部分。朝日新聞は空母化される「いずも」の費用対効果に大変な疑問を感じていることが分かる。しかし、朝日新聞は4日前の12月19日の社説ではこう書いている。

「見過ごせないのが、自衛隊の打撃力の格段の強化だ。…より多くを日本に求める米国の意向を受け、自衛隊の攻撃的な能力は少しずつ整備されてきたが、今回は一線を越えたと言わざるをえない。『空母』の導入だ。」

 いずもの空母化によって自衛隊の打撃力の格段の強化になると批判した4日後に「巨額の費用に見合う効果があるのか、大きな疑問符がつく」。

 ジキルとハイドか、朝日新聞は。「打撃力の格段の強化」と事実を指摘しながら、その直後に「費用に見合う効果は疑問」と批判する。それなら、費用対効果を適正なものにする、疑問視される効果を疑問が生じないような確かなものにするため、さらに打撃力を強化すればいいのか。いや、打撃力の格段の強化は見過ごせないと言っている。一体、どうすればいいのか、どうしたいのか。もう笑うしかない。

勝手な想像が批判の根拠

 もう1点、指摘しておこう。米国製の兵器の購入について、勝手な想像を批判の根拠にしていること。

「安倍政権が導入に突き進むのは、トランプ米大統領が掲げる『バイ・アメリカン(米国製品を買おう)』に呼応してのことだろう。」

「日米の通商交渉をにらみ、米国の貿易赤字削減に協力する姿勢をアピールする狙いもありそうだ。」

「軍拡競争や地域の不安定化につながりかねない兵器の大量購入で、トランプ氏の歓心を買うような振る舞いは、およそ見識を欠く。」

 これ、全部、朝日新聞の勝手な想像であろう。北朝鮮情勢、中国の南シナ海進出、尖閣諸島の問題と日本周辺の情勢が緊迫した状況であることは子供でも分かる話で、政府はそれへの対応を考えていると思われる。トランプ大統領の歓心を買おうとして国防に関する政策を決めているなどと考えるのは朝日新聞ぐらいのものだと思う。言ってみれば批判の根拠が朝日新聞の妄想なわけで、妄想に基づいて批判されても、それは何の説得力も発揮しない。

 いや、ひどいな、今日の社説も。朝から笑わせてもらった分、読む価値があったと言える社説なのかもしれないが。

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