5月29日の毎日新聞の社説「生活保護受給者に後発薬 社会の公平性どう考える」には驚かされた。内容は生活保護法改正案が今国会で成立する見通しになり、4兆円近くになる生活保護費の半分近くを占める医療費を抑えるため、生活保護受給者は原則として低価格のジェネリック医薬品を処方することが盛り込まれることに異議を唱えているというものである。音声データはこちらから。

差別という言葉に敏感な毎日新聞

増える一方の生活保護費の膨張を抑えるための策なわけで、我々も病院で薬を処方してもらって、薬局に行くと「ジェネリック医薬品にしますか? 成分も効果も同じで、料金がお安くなってます」と言われることがある。そのジェネリック医薬品のことである。

生活保護は憲法25条の生存権に由来するもので、国民にとって、とても大事な制度であるのは言うまでもない。しかし、生活保護も財源あってのこと。受給額の半分近くを医療費が占めている現状を考えれば、それを抑えるのは当然であろう。医療費が増えて生活費を圧迫し、受給額だけでは生活できないということになれば、我々の税金からさらに受給費を捻出しなければならない。社会福祉の恩恵を受ける者、保護されるべき者も、当然、その点への理解は必要である。

ところが毎日新聞は「生活保護費の膨張は抑えなければならないが、受給者だけ後発薬を義務づけることには異論も根強い」と言う。異論が根強いのは、あなたたちだけではないのかと言いたくなるが、それはさておき「生活保護の受給者だけをターゲットにするよりも、国民全体で後発薬の使用を進める方が医療費を抑える効果ははるかに高い。お金のない人を自動的に後発薬とすることによる差別感を避けることにもなる」とも書いている。

そんなことは百も承知。ただ、自分の可処分所得の中で医薬品をジェネリックにするのか、そうでないものにするのかは、最終的には個人の自由に属する問題であって国があれこれ言うべき問題ではない。また、そこで一律ジェネリックを優先する制度をつくれば、新薬開発した会社が逆に新薬開発で経営を圧迫されるという逆転現象が起きてしまうことに、毎日新聞は気づかないのか。

一方、所得が社会福祉制度の中に財源が求められている生活保護受給者が、その所得をどう処分するかについては、一般の人と同列で考えるべきではない。それは絶対的平等を求めるに等しく不合理な結論になるのは明らかだからである。

「薬効は同じでも、新薬とは形状や添加物が異なり、溶け方や塗り心地が違うことから、後発薬を嫌がる人がいるためだ」と書いているが、それは生活保護制度を効率よく運営するためには理解してもらうしかない。そうした生活保護受給者の感情と、生活保護制度との重要性を比較考量すれば明らかで、比較考量で考えるべき事案である。

公共の福祉は国民全てが意識しなければならない。それは生活保護受給者も同じ。毎日新聞はそんなことも分からないのだろうか。久しぶりに恐ろしく低レベルな社説に出会った。