今日2月5日は、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんのツイッターが炎上している件について考えてみよう。

 ジャーナリストであり、2016年には都知事選にも立候補した鳥越俊太郎氏(78)が1月30日にツイッターで告知をした。その告知というのがニコニコ動画でチャンネルを2月上旬に開設することを伝えるもので「皆さんが普段感じている世の中の疑問や私に聞きいてみたいこと、議論してみたいことなどを募りたいと思います。こちらに書き込んで頂くか、公式HPからメールを送ってください!」と意見を募集したのである。

鳥越俊太郎氏の絶望的な昭和脳

 これに対して、鳥越氏を非難する意見が多数寄せられて炎上状態になった。炎上の原因は言うまでもなく、都知事選の時に週刊文春と週刊新潮で報じられたスキャンダルに関するもの。報道されたものによると2002年に女子大生を別荘に連れ込み、キスをして淫らな行為に及ぼうとするも、女性の抵抗に遭って未遂に終わったという。また、別荘で女性を強制的に全裸にしたという報道もされた。それに対して鳥越氏は、「事実無根である」として両誌の編集長を東京地検に刑事告訴したが、その後、不起訴処分に終わっている。

 このような経緯があるせいか鳥越氏のツイッターには多くの意見が寄せられた。いくつか紹介してみよう。

「他人には厳しいのに、自分のレイプ問題をうやむやにする鳥越俊太郎という卑怯なジャーナリストがいたりするんですが、そのへんも含めて、ご自分の考えるジャーナリスト像というものを教えてください』。

「広河隆一氏との人権派ジャーナリスト同士の対談を希望します。テーマは『業界に憧れて集まる女性を食い物にする似非ジャーナリスト』で」。

「自称ジャーナリストを騙(かた)るレイパーが横行してますよね。先日も広河氏が逮捕されております。そういった中でのご自身と広河氏の犯行に至る手口の共通点や被害者女性同様にそういった立場に置かれた女性が取るべき行動なども加害者の目線での意見を頂き犯罪の防止に繋がればと思います。ご一考下さい。」

「強姦をしたことがありますか?またしたことがある場合、反省はしましたか?」

 この件、僕もこうした書き込みをした人と意見は同じである。都知事選の時に選挙運動に集中するためなどと言って何ら具体的な説明もせず、ただ、編集長を刑事告訴しただけ。その刑事告訴が不発に終わった。鳥越氏を野党統一候補とするために立候補しなかった宇都宮健児氏からも選挙後に厳しく批判されたのは記憶に新しい。「あれだけ週刊誌で具体的な事実が出されている。彼はジャーナリストなので説明責任を果たすべきだ。『事実無根、刑事告訴』じゃ都民に対して納得のいく説明になっていない」と弁護士らしい主張であった。

 ここまで表に現れている事件の外観だけみると、鳥越俊太郎氏は真っ黒。そもそも刑事告訴というのがおかしな方法である。もし報じられた事案が全く身に覚えがないというのであれば、刑事告訴と同時に民事訴訟も提起する。なぜなら刑事告訴をしても起訴するかどうかは検察官の権限であり、法廷で真実が明らかにされる保障などないからである。確実に法廷で争うためには民事訴訟しかない。それをしないのは、最初から争う気などないからと思われても仕方がない。また編集長だけを告訴したが、全く根も葉もないというのであれば、相手の女性を刑事告訴すべきであろう。それをしないのは、虚偽告訴罪(刑法172条)で自らが刑事責任を問われる可能性があるからと考えられる。それらも含めて彼は現状真っ黒であるということである。

 こうした一連の動きを見て思うのは「鳥越氏の発想は昭和の時代から進歩していないのだな」ということ。昭和の時代、ジャーナリズムは権力の監視、批判をするものであり、それは庶民の味方、正義の味方であって、批判されることはないという一種の特権的地位に近いものがあったと言えよう。もっとゲスな言葉を使えば、左翼は正しく、右翼は間違っているから、左翼が悪いことをしてもメディアは表に出さないという風潮。沖縄の一部メディアなどを見ると、そのニュアンスは分かってもらえると思う。彼はそのような状況が、平成が終わろうとしている今の時代にも生きていると思っているのかもしれない。

 しかしネット媒体が質・量ともにテレビをも凌駕する時代では、国民はこれまでにはなかった情報を入手でき、鳥越氏らが享受していた特権的地位にも容赦無くメスが入る。これまで権力を批判することで特権的地位にいた人が、その権力を利用して力のない女性の人権を踏みにじるという卑劣さを、もはや国民は許さない。そうした国民の怒りが、鳥越氏のツイッターに現れたということだと僕は思っている。

 もう一つ大事なのは、昭和の時代、基本的に情報発信は一部のメディアが独占していたということ。インターネットという双方向性の媒体がなく、一般の国民は鳥越氏らの意見をただ受け取るだけしかできない情報の一方通行が常態であった。そのため、スキャンダルがあっても頰被りをして一定の時間が過ぎればメディアの興味も失われ、追及されることもない。鳥越氏もそう考えていたのであろう。

 しかしネットで検索すれば、過去の有名人の行いが簡単に入手することができる時代、鳥越氏の真っ黒な状況も簡単にバレてしまう。メディアが「ニュース価値がない」と判断して以前の事件を報じない場合でも、国民はSNS等を通じてニュース価値に関係なく取り上げる。そうしたネットの検索システムや、媒体としての双方向性を理解していれば、今回のようなことは十分に予想できるし、そうであれば、客観的に真っ黒な状況においてツイッターで意見募集など自分の首を絞めるような真似はしないであろう。その意味では、鳥越氏は情報を扱うジャーナリストとして無能と呼ぶに値する。

 鳥越氏が今、すべきことは自らの行為について説明し、反省すべきは真摯に反省することである。被害者の女性の心情を少しでも考えるなら、ジャーナリストとしてというよりも、人間としてしなければいけない。

 もっとも、彼は今回の件は無視するであろう。そしてこんなことを言って幕引きを図るであろう。「ネット上のいやがらせで、ニコニコ動画の番組がうまくいかなくなりました。匿名社会の媒体では悪意ある人を排除できないのは致命的である」と。

 鳥越氏の今後の行動に、僕なりに注意を払い続けようと思う。