30日早朝、自動車を運転しながらTBSラジオを聴いていたら、ニュースキャスターの森本毅郎氏の声が聞こえてきた。彼は番組のオープニング早々、麻生太郎副総理兼財務相の29日の参院財政金融委員会での発言について、あれこれと話し始めるではないか。

森本毅郎さんのおかげで朝から不快に・・

麻生財務相は委員会で以下のようなことを語ったのはニュースで伝えられている。

①日本の指導力でTPP11が締結されたのに、日本の新聞には1行も掲載されていない

②みんな森友の方がTPP11より重大だと考えている

③日本の新聞のレベルというのはこんなもの

森本氏はこの発言について30日の朝日新聞で「TPP11の話は朝・毎・読すべてに掲載されていた、TPP11は締結ではなく署名されたにすぎず、国会で協定が承認され関連の手続きを終え、協定寄託国であるニュージーランドに通知した時点で『締結』になるから締結はされていない」という記事が紹介されていることを示し「麻生大臣のレベルはこんなものかと言われる」と大笑い。アシスタントの女性も追従のような笑い声をあげていた。

朝から不愉快な森本氏、そしてアシスタントの女性である。彼らは麻生財務相の事実の摘示の詳細が違っていたから「ば~か」と笑っているわけで、こういう行為に何か意味があるのかと思う。麻生財務相の発言の真意は、日本のメディアの報道のあり方が問題だということで間違いない。僕が考えるに、以下のように言いたいのだと思う。

(1)各新聞がニュースバリューの判断に誤りがあるのではないか

(2)国民生活に大きな影響がある事実ーーそれは国民が真に知りたいこと、知るべきことであるがーーそれが伝わっていないのは国民生活に何らかの影響があるのではないか

(3)国民のためという視点が欠け、自らの思想信条を実現に寄与するニュースを優先的に報道するのはメディアのあり方としておかしい

本人に聞いたわけではないから分からないが、まともな人間ならそう受け取るはず。そしてその主張は概ね妥当だと思う。トランプ政権が発足してすぐにTPPからの離脱を表明し、TPP自体が雲散霧消しかねない状況だったのに署名までたどり着いたことの意義は極めて大きい。特に今、トランプ大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入制限をして保護主義に回帰している時期だけに、米国抜きのTPP11の成立は米国の政策にも大きな影響を与えかねない。実際にトランプ大統領は最近、TPPへの復帰をほのめかす話をしていたのはニュースでも伝えられている。

森友問題とTPP11の署名、どちらがニュースバリューがあるかと問われれば僕は断然、後者だと思う。それなのに前者を重点的に扱うメディアは僕の目から見ても奇異に映る。

主張の核心部分には何の言及もなく、その主張を明らかにする際の細かい事実関係のミスをあげつらうだけの行為に何か意味があるのか、そんなの人にニュースキャスターとしての資格があると言えるのか。公共の電波を使っているならメディアのあり方の部分についての見解を語ってほしいし、語るべきである。それで「いや、TPP11より、森友の方がニュースバリューがある」という主張をするならするで、堂々と自身の考えを披瀝すればいい。

それをせずに「お前、ここ間違ってるよ」とだけ話して呵々大笑。肝心な部分に答えないのは、相手が正しいことを認めているからか、ただ、相手をこきおろして、自分の方が立場が上だと主張したいか程度の考えでしかないと思う。

森本氏は1939年生まれ78歳。この人がメディアの一線でバリバリ活躍していたのは僕が大学生のころである。僕は彼を「老害」とは言わない。昔からこの調子だったし、78歳だって立派な方はたくさんいらっしゃる。これは、森本氏の資質の問題。森本毅郎さん、あなたはニュースキャスターと呼べるレベルに到達していません。少なくとも僕はそう思う。