貴乃花親方を擁護するノンフィクションライターの窪田順生氏の文章が週刊ダイヤモンドの「DIAMOND on line」に掲載された。

貴乃花親方バッシングに見る相撲協会とマスコミの「狂気」

内容を簡単に説明しよう。

(1)貴乃花親方へのバッシング報道が異常

(2)この種の報道が続くと、普通の人は騒動の元凶は貴乃花親方にあるように思えてしまう

(3)本当の問題は白鵬は暴行現場でずっと暴行を見ており、現場にいた力士と貴ノ岩の主張が食い違っていること

(4)貴ノ岩の主張が正しいとすれば、これは「密室の集団リンチ」である

(5)大横綱が絡む集団リンチの真相究明より、組織への報告がないことが問題とされるのは完全に狂っている。

(6)相撲協会とマスコミは極度に閉鎖的なムラ社会であり、貴乃花親方へのバッシングは「ムラの秩序を乱す者への憎悪」をこじらせた結果である。

ダイヤモンドのような輝きある文章を載せてほしい

この文章は論理的ではないと思う。暴行事件の真相究明は刑事事件として捜査が行われており、最終的には司法が判断すべき事項である。そして貴乃花親方による協会への報告は、協会内部の問題。これは全く次元の違う話であり、当然、二者択一の問題ではない。

司直の手で真相究明が進められている間に協会は事態を把握して、刑事事件として結論が出た後に適切な処分を下す、その準備を進めることは並立が可能である。場合によっては協会は捜査に協力して、真相究明に手を貸すこともあるだろうし、真相究明がなされた後は再発防止のために必要があれば力士への指導も行わなければならない。それは協会に課される責務と言っていい。

ところが貴乃花親方が協会に事情を説明しないどころか、弟子も隠して、協会の果たすべき責務の遂行を妨害しているのが実情である。しかも同親方は協会の理事であり、巡業の責任者。そのことをファンやマスコミは批判しているのである。自分の弟子が当事者になったことで、協会の理事としての責務を放棄しているという公私混同ぶりが批判の対象で、そうした批判は、真相がどうであったか、真相究明が後回しになってしまっていいということを意味しない。

窪田氏は全く別次元で、並立が可能な事態を、あたかも一方が成り立てば、他方が成立しないというロジックで論じる前提の誤りに気付いていないのか。しかも、貴ノ岩と他の力士の主張が異なるのは認めているのであるから、貴ノ岩の主張が間違っていれば「密室の集団リンチ」であることも否定されかねない。

こうした不確定で信頼性に乏しい前提条件の上で、閉鎖的なムラ社会を批判しても説得力を発揮しないのは当然である。そのムラ社会批判にロッキード事件まで持ち出して、意味もなく長くなっている。もう一つ言えば「狂気」などという言葉は、適切さを欠いていると思う。

はっきり言おう、これは悪文の典型である。炎上目的で掲載したのかもしれないが、このレベルの文章を掲載することは、メディアの価値そのものを落とすことになることに週刊ダイヤモンドは気づいてほしい。