1月13日は朝日新聞の社説ではなく、記事について検討してみた。見出しは「米軍に日本の法律『不適用』 国、説明から『国際法』削除」。

 見出しだけ読んで中身を理解できる人は少ないだろうから、簡単に説明しておく。日本に駐留する米軍の公務については、原則として日本の法令の執行や裁判権等から免除される。これは軍隊という特殊な地位とその活動を考慮したものなのであろうが、従来、日本国政府はその理由として国際法を挙げていた。朝日新聞によると1970年代頃から国会で「一般国際法上、外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されず、日本に駐留する米軍も同様」と答弁してきたという。

アメリカに厳しく韓国に優しい朝日新聞

 これに対して日本弁護士連合会や野党が「その国際法の根拠を示せ」と質したものの、政府は「これまでご説明している通り」という答弁に終始し、外務省のホームページでも先ほどの「一般国際法上、外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されず、日本に駐留する米軍も同様」という説明をしていた。

 しかし1月11日になって外務省はホームページから国際法の文言を説明をデリート。この事実を朝日新聞は「日米地位協定 政府の説明変更 批判受け主張を封印」という見出しを立てて報じたというわけである。

 政府の説明の仕方が変わっただけという話で、当事者である外務省は「批判をふまえわかりやすくしたが、『原則不適用』の根拠となる国際法があるという見解は変えていない」と言っているのだから、考え方も、方針も変更はない。ただ説明の仕方を変えただけ。ところがこの点について朝日新聞は専門家の「日本政府が米国に有利な解釈にこだわるのは守ってもらうための忖度ではないか」という話を持ち出して批判めいて論じている。

 別に批判するのは構わない。朝日新聞の考え方なのだろうから。ただ、ここで考えて欲しいのは1月11日付けの社説との整合性である。ここでも紹介したが、いわゆる徴用工問題について、韓国側の明白な日韓請求権協定違反に対して「日韓の当事国間の対話を離れ、第三国を交えた仲裁委や国際裁判で決着させるのが歴史問題のような懸案になじむのかどうか。どちらかの主張に軍配が上がったとしても感情的なしこりが残りかねない。…日韓両国はあくまで二国間の話し合いで合意を築くことをあきらめるべきではない。」と、国際法違反の事実が明白であるにかかわらず、二国間合意での解決を主張している。

 日本政府による「米国の有利な解釈にこだわる」というのが事実だとして、その解釈に至る説明が変わったことを批判めいて報じるものの、2日前の社説では条約、すなわち国際法に違反する事実がありながら、「相手の事情も斟酌して解決しろよ」と言っているのである。

 アメリカが相手だと法律の根拠となる説明を求め、韓国が相手だと法律の取り決めよりも二国間の話し合いで決めろということのおかしさに気づいていないのか。この事実は反米反安保反自民反安倍という基本的な考えを基準にしているから、個別の案件について判断基準の差が出てしまい、全体として整合性の取れない紙面になってしまうのだと思われる。

 言ってるそばから、矛盾が露呈。これが朝日新聞のクオリティーなのだろう。ダブルスタンダードに陥るクオリティーペーパー(笑)。