先日、「行列のできる弁護士相談所」(日本テレビ系)を見た。いつもクオリティーの高いトークを披露してくれる番組なので、楽しみにしている。ただ2017年11月12日放送分については、弁護士への問いかけに違和感をもった。

簡単に相談内容を紹介すると、ある居酒屋の店長がアルバイトの女子大生を好きになり、周囲から煽られて慰労会の席でみんなの前で「好きです。付き合ってください」と告白した。答えはノー。

その結果、その日から女子大生はみんなから冷やかされ、同僚からは「付き合ってやれよ」などと無責任に言われ、仕事がやりにくくなった。さらに、店長を避けて出勤する必要もありアルバイト料も半減したという。女子大生の主張は「店長という立場でありながら、みんなの前で告白して弱い立場のアルバイトの女性を困らせる行為がセクハラにあたる」というものである。

弁護士の見解は1対2で「セクハラになる」が多数を占めたが、まあ、それはどうでもいい。違和感を感じたのは

「何で弁護士にモラルを問うのか?」

ということ。

「弁護士には法律を聞け」って。

セクハラかどうかはモラルの問題。だったらそれを聞くにふさわしい職業の人は他にいると思う。それをなぜ、弁護士に聞く?

ここからは想像だけど、その女子大生は働きにくくなってアルバイト料が半減したので、損害賠償を求められるかというのがそもそも相談内容だったんじゃないかな。もしそうなら、紹介された事案では損害賠償は難しいと思う。どういう法的構成をするのか、そもそも誰を訴えるのか知らないけど、テレビで紹介された案件で訴えが認められるなんてことは、まずありえないでしょう。1回だけの告白で店長による不法行為(民法709条)や、会社の使用者責任(同715条)を問うのは難しいと思う。

そうなると3人の弁護士は「セクハラかどうかはともかく、そんな訴えはアウト」と意見がまとまってしまってトークが広がっていかない。そこで「セクハラか?」という問いかけにしたのではないか。

これがたとえば、断られたのに店長が事あるごとに職場で「付き合って」と迫って、働きにくくなって収入が減った、精神的なショックで体調が悪化したなどがあれば別だけど。こういう番組のつくりは仕方がないのだろうけど、法律論を聞きたいと思う視聴者にはどうかと思うよね。

ちなみに僕の考えは1回だけで「セクハラ」は厳しすぎると思う。適切かそうでないかと言われれば、状況次第。店長さんも若い男性なら、その場のノリ、飲み会の雰囲気というのもある。そこまで「セクハラだ!」と目くじらをたてるような社会は窮屈だなと、僕は感じる。ノリもあって告白したら後で問題にされ、下手したら業務上の問題、店長としての資質の問題とされるような慰労会なら最初から開催しない方がいい。狭い店内で体が接触したら「強制わいせつだ!」なんて言われかねない。僕が店長なら、社員として自己防衛に徹するだろう。

2人の弁護士は「セクハラだ」と言ったけど、法律と違って個人の感じ方の問題だから、比較的気楽に言える。彼らはエンターティナーに徹して発言したのかもしれない。