これは店がどうしたら長く愛されるのか、街の老舗に聞くというFoodist Mediaの取材だった。公開は2017年4月14日。

https://www.inshokuten.com/foodist/article/4334/

数ある老舗の中から選んだのが世田谷区経堂にある「レストラン デリス(delices)」。店主の荒瀬紀男さんが優しい方で、色々と協力してくれていい記事に仕上がったと思う。人気記事ランキングでも1位になったが、もっぱら荒瀬さんの人柄によるものだと思う。

実はこの経堂、僕は10代の時に1年だけ住んだ。大学受験に失敗し、予備校に通うために三畳一間の狭い下宿を借りたのだが、色々とあったよ、あの頃は。

あの時の世間からドロップアウトした経験が、しばらく自分の中の精神生活で尾を引き、大学に入ったころは劣等感の塊のようだった。そうした思いを払拭してくれたのが大学の剣道部。剣道部に入っていなかったら、僕はもう一度ドロップアウトしていたんじゃないかな。剣道部の素晴らしき友人たちのおかげで今がある。

それはともかく、懐かしの街・経堂ということで取材の前に下宿した家の周辺とか、よく通った農大通りとか色々と見て回った。懐かしかったなあ。僕が住んだのはもう30年以上も前のことだから、店もほとんど残っていない。そんな中、農大通りの茶色いビルはそのままだった。テナントはもちろん、変わっているけど。階段が建物の前にある特徴ある構造で、今見ても結構、シャレている。

僕の思い出はどうでもいい。取材の時に荒瀬さんにその話をした。

「僕は昔、経堂に住んでいまして・・」

「え、どのあたり?」

「5丁目のスーパーオオゼキがある方でして・・」

「じゃあ、ウチとは駅の反対側だ」

「鈴木善幸さんが総理になって、実家を見にいったりしました」

「ああ、善幸さんの家は、この店のすぐそばにあったよ」

みたいな会話になって盛り上がった。その意味では経堂に住んでいたことが役に立った。とにかく懐かしい場所での取材、荒瀬さんの人柄、楽しい仕事だったというのが一番の思い出だね。