仮想通貨取引所の「コインチェック」から仮想通貨「NEM」が流出した事件で28日に同社はHPで補償の方針を発表した。売買停止からリリース発表までのNEMの加重平均をとり、日本円で返金するという。

これで「ああ、よかった」と思う被害者はいないと思うが・・・。

コインチェックは時間の問題?

まず、コインチェックウォレットに日本円に返金したとして、それを現金化できるとは書いていない。つまり帳簿上、口座に日本円が入るものの、それを下ろせる保証はないのである。補償時期や手続き方法は検討中とされており、帳簿上の返金すら1年先か2年先になる可能性がある。

そもそも被害額は580億円程度と伝えられており、従業員70人程度の会社に、そんな内部留保はないと考えるのが普通だろう。もし、あれば記者会見で明言して補償の担保とするに違いない。そう考えると売り上げ等の基本的な財務状況すら言えなかったのは、言ったら「補償します」という言葉を担保する内部留保がないことがバレてしまうからと考えるのが通常の思考経路である。仮に口座に補償金の日本円を入れて、さらに現金化できるようにしたら現代版取り付け騒ぎで会社の金庫は空っぽ、後には誰も残らないのではないだろうか。当然、事業は直ちに継続不能。

和田晃一良社長、大塚雄介COOはしばらく出金はさせないようにしても、口座に日本円が入っているから契約者は取引を続けてくれる、そして引き続き事業継続をする中でNEMの取り戻しをして、さらに取り戻せない分は利益を補償に充てて・・というような考えをしているのではないだろうか。

もし、そうだとしたら自分たちが置かれた状況を理解していないと言うしかない。彼らが今回の事件で失ったのは580億円相当の資産だけではない。もっと大切な「信用」を失っているのである。あの記者会見、これまでの一連の対応を見て「この人に大事な資産を預けよう」と思う人はいないであろう。

契約者に大きな被害を出していながら、何ら誠意ある言葉もなく「検討中」を連発、担保も示さずに莫大な被害に対して「補償します」という人間を信用する人などいない。そもそも2017年6月に「なりすまし保証」という制度を月内にも始めると言っておいて、それから半年以上実行されていないのである。今回の事件の補償が誠実に履行されると考える方が間違っていると僕は思う。

そもそも同社はみなし業者として事業を継続しているわけで、今回の件で金融庁からの仮想通貨取引所の登録を受けることは絶望的と言えるのではないだろうか。そのあたりの見通しもできていないのかもしれない。こういう状況になったら、もうすべての情報を開示して個人の資産も可能な限り出して会社を清算するしかないと思う。

以前、ほとんどの資産を横領されて、ほぼ無一文になった社長が東京で再起した経緯を記事にした。彼の潔さ、不屈の闘志は見習うべきものがあるし、そんな人柄だから応援してくれる人もいたのである。資産が無くなっても信用があれば、ビジネスは続けられるといういい例。だから「信用」を失った和田社長、大塚COOは、事業の継続はもちろん、再起も難しいと僕は判断している。

被害者には本当にお気の毒という言葉しかない。