昨日はワールドカップ関連の話で古巣の日刊スポーツの話を書いたが、懐かしいね。せっかくなので、今日もそれに関する話題を。僕も色々な方を取材したけど、忘れられない取材対象は当然いる。その1人がかつてヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ1969)の総監督をしていた李国英氏。

J開幕当初はまばゆい光を放っていたヴェルディ

ヴェルディ川崎は1998年シーズンが終わると、李氏を総監督に就任させた。僕は李総監督に98年でヴェルディを離れクロアチアに移籍する三浦知良選手に関してコメントを取りにいくことになった。確か、羽田か成田か、空港での取材だったように思う。

ストレートな物言いをする方で、Jリーグのチームを率いる立場としてはなかなか個性的な方だなと感じていた。本編の取材は和気藹々としたムードの中、無事終了。しかし、その後の雑談の中で李総監督が「日本は慰安婦の問題でも、全く賠償もしていない。けしからん」といった趣旨の発言をされたので、僕は思わず聞き返した。

「それはおかしくありませんか? 1965年の日韓基本条約で韓国は対日請求権を放棄しています。補償が必要な人がいれば、その人への個別支給は韓国政府がその後、行うとしたはずです。問題があるとしたら韓国政府の方ではないでしょうか」。

李総監督の表情から笑顔が消え、黙り込んでしまった。その場にはヴェルディの広報担当の若い女性もいたが、何とも気まずい空気が漂った。沈黙を破ったのは李総監督だった。

李 「君はスポーツ新聞には向いてないな」

松田「そうですか?」

李 「そう思うよ。いずれ辞めるだろ」

松田「辞めたら食べていけませんよ」

李 「いや、君はいずれ辞める」

あの時の李総監督の予言は、15年後の2014年に実現することになった。その意味では「ご慧眼、おみそれいたしました」と言うべきだろう。多分、李総監督はスポーツ新聞の記者が政治の話で反論してくるなんて思ってもいなかったんじゃないかな。

その後、李総監督と話をした記憶はないが、今でもサッカーの指導者として活躍をされているようだ。今、会ったら「俺の言った通りだろ?」などと言われるのかもしれないね(笑)。