冬季五輪・平昌大会に向けて北朝鮮の動きが活発だ。女子アイスホッケーの合同チームに関して1月21日付けの労働新聞は「南朝鮮の各界が、歴代最悪の人気のない競技大会と記録されかねない五輪競技に我々が救援の手を差しのべたことにこの上なく感謝している」と書いたとか。

対象が女子アイスホッケーなのか、五輪全体に対してなのか、この翻訳文からは判然としないが、ここまで五輪を貶める表現をした政権も珍しいだろう。メディアはもっと批判した方がいいんじゃないのか、北朝鮮と韓国のやり方を。

1984年のロス五輪は政治に揺れた大会だった

五輪憲章には「オリンピック・エリアにおいては、いかなる種類のデモンストレーションも、いかなる種類の政治的、宗教的もしくは人種的な宣伝活動は認められない」とあるが、エリア外では政治の波に翻弄されているのが五輪の歴史である。

1936年のベルリン五輪がその最初と言われており、1976年のモントリオール大会は多くのアフリカ諸国が、1980年のモスクワ大会では西側諸国が、1984年のロサンゼルス大会は東側諸国が不参加。政治に揺れる五輪の歴史と現状は、誰の目にも明らかだろう。

そんなことがあると思い出されるのは、1984年のロサンゼルス大会での磯村尚徳氏による開会式の解説。この時、ソ連をはじめとする東側諸国は大会をボイコットした。東ドイツ、ハンガリー、ポーランド、ブルガリア・・などである。そんな中、東欧諸国からルーマニアが参加し、入場行進では会場から大きな拍手が沸き起こった。

また、中ソ対立という国際情勢から、中国も参加した。各国の入場行進が終わった時に磯村氏はこのような趣旨の話をした。

「私が聞いた限りで、最も声援が大きかったのは開催国のアメリカを除けばルーマニアです。続いて中国でした。どちらもソ連のボイコットに同調せずにやってきた国です。『よくぞ来てくれた』という気持ちがアメリカ国民の中にはあるのでしょう。五輪に政治を持ち込まないとは言われるものの、見事なまでに政治的な状況を反映した開会式です」。

言葉に困る実況アナウンサーに磯村氏は「あまりこういうことを言いますと、無粋だと言われるのでそれぐらいにしますが」と、続けた。言葉は僕の記憶なので正確ではないが、概ねそんな感じである。

その時、大学生だった僕は磯村氏の言葉にひどく感動したのを覚えている。スポーツの祭典は政治を映す鏡となっている現状をここまで明確に語っていることも素晴らしいし、更に言えば、当時は「社会主義こそが正しい」といった歴史観を信じる人も少なくはない状況の中(衆院で日本社会党が100議席以上!)、勇気を持ってよくぞ言ってくれたという点はもっと感動的である。

こういう骨のある方がテレビの解説をやってくれないかなと思っているのだが、放送の世界も人材不足なのかな。