今日は朝日新聞が12月29日の社説で特定の問題を扱わない不作為について扱ってみたい。分かりやすくいえば、「ここでスルーかい?!」みたいな(笑)。音声データはこちらから。

ここでスルーする朝日新聞(笑)

 韓国の艦艇が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題で、防衛省は12月28日に照射時の映像を公開した。韓国側が事実を認めないために止むを得ず、このような方法をとったのであろう。この映像について朝日新聞は元自衛艦隊司令官の香田洋二氏の「映像を捏造しているとは考えられず、日本側の主張は間違いない」「今回の映像公開をもってしても韓国が事実を認めることはなく、最終的には水掛け論で終わってしまうだろう」という言葉を紹介している。よく書いたなと思えなくもないが、見方を変えれば韓国側の許し難い姿勢を、第三者の言葉を用いて伝えているに過ぎず、自分たちは沈黙を守っているわけである。

 実際、12月29日付けの社説ではスルー。この日の社説は2本立てで1つは「消費増税対策 あまりに問題が多い」、もう1つは「大阪ダブル選? そうかいな、といかぬ」。これ、どちらも緊急性がある? 特にダブル選については、松井一郎大阪府知事がその可能性に言及したのは5日前の12月24日。今頃、このタイミングで社説で扱う必要性があるのか、不思議に思う人は少なくないと思う。

 朝日新聞は韓国艦艇による火器管制レーダー照射問題については12月27日付けの社説で触れている。「日韓防衛摩擦 不毛な悪循環を避けよ」というタイトル。「自衛隊と韓国軍の日本海での活動をめぐり、日韓両政府が言い争いをしている」と、まるで双方に非があるかのような書き方をした。

 日韓防衛摩擦という表現は防衛問題をめぐって日韓が対立している状況だけを指しており、問題は韓国側の一方的な危険な行為と、それを認めようとしないことに問題があるという状況で「防衛摩擦」と責任の所在を明確にしない書き方には違和感を覚える。

 また、「まずは、事実の究明を冷静に尽くさなければならない」「今回の真相は不明であるものの」と真偽不明の状況としつつ「発生から時間が経つにつれて韓国側が説明を変えたのは不可解であり、混乱を深めた」としており、双方の対立と真偽不明の立場に立ちながら、韓国側の態度に疑問を呈するところにまでは立ち入った。

 この社説の翌日、12月28日に防衛省が韓国側の主張の虚偽性を立証するための証拠を出した。冒頭の元司令官の日本側の主張の正しさを主張する言葉を紹介しているように、レーダー照射は間違いないと判断すべきなのは当然の帰結であり、一定の理解力のある人間なら、そこに行き着くであろう。もう韓国側の非は合理的に推認できると言っていい。

 そうなると朝日新聞は「まずは、事実の究明を冷静に尽くさなければならない」「今回の真相は不明であるものの」と書いた部分に対して、今回の防衛省の公表で一定の結論が出たことを認めるべきだろうし、「発生から時間が経つにつれて韓国側が説明を変えたのは不可解であり、混乱を深めた」という韓国側への疑念はさらに強くなったことは新聞社として何らかの説明をすべきだと思う。少なくとも「日韓防衛摩擦」という言葉は実態と乖離した状況になったわけで、そこへの説明は読者に対してすべき。彼らがよく言う説明責任である。

 12月29日の産経新聞の社説はこう書いている。「27日の日韓防衛当局のテレビ協議で、日本はこの映像を韓国側に示した。それでも韓国はしらを切った。事実を認めないのだから再発防止策を講ずるはずもない。このままでは自衛隊員の安全は脅かされ続けることになる」。

 この程度の指摘ができないのでは、言論機関を名乗る資格はないと僕は思う。朝日新聞の社説は様々な問題があるが、こうした不作為こそが最大の問題かもしれない。